【2021年最新版】M&A優遇税制(減税措置)を分かりやすく解説 NO.0058

皆さんこんにちは!
あっという間に8月が終わり、今年もこのまま気が付いたら一年が終わっていくような感覚ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

長引くコロナ禍は、デルタ株の猛威により先行きがなかなか見えてこない状況ですが、我慢比べと捉えて今できることのベストを粛々と積み重ねていくほかないと考えております。


先月はM&Aに関して弊所のお客様である買い手側のFA(ファイナンシャルアドバイザー)として、財務と税務のDD(デューデリジェンス)にかなり時間を取られてしまい、ブログを1本しか更新できなかったのですが、先月で概ね業務完了の目途が付きましたので、今月は4本くらいはUPできるように頑張りたいと思います。
会社経営において少しでも役立つ情報や知識を提供していきたいと思いますのでお付き合いのほどよろしくお願いします。
では、早速いってみましょう!

 

ポイント1.M&A実行時に受けられる優遇税制(減税措置)の概要を知る

中小企業庁は、令和3年8月2日に「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)の活用について」という表題で、M&Aに関する減税措置を発表しました。漢字が大量に並び、早速読むのも疲れる感じがすると思いますが、要約するとそれほど難しい内容ではなく、かつ、減税のインパクトはかなり強力であるため、今後M&Aにより事業譲り受け(売り手さん側の優遇税制ではないので予めご留意ください)を検討されている方は、ぜひ知っておいていただければと思います。なお、優遇税制活用に当たっては、事前に「経営力向上計画D類型」の認定を受ける必要があり、国から「認定経営革新等支援機関」として認定された機関のサポートを受けて作成した計画の認定を受ける必要があります。

(弊所は認定支援機関の認定を受けております)

優遇税制の大まかな概要は以下の3つとなります。

 

  1. 設備投資減税(中小企業経営強化税制) 
  2. 雇用確保を促す税制(所得拡大促進税制)
  3. 準備金の積立(中小企業事業再編投資損失準備金)

 

※参考

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/shigenshuyaku_zeisei/leaflet.pdf

 

ここでは、上記三つについて、一つ一つなるべく分かりやすく解説していきたいと思います。

 

ポイント2.設備投資減税について

端的に述べると、M&Aの効果を高める設備投資に対する減税措置です。

事業の譲り受け後に設備投資を行った金額の10%(資本金3,000万円超の中小企業等は7%)の税額控除、または、全額即時償却が可能というものです。

税額控除については、直接納税額から控除できるというメリットがあり、即時償却の場合は、設備投資にかかった金額のすべてについて一括費用計上が可能となります。例えば1,000万円の設備投資を行った場合、100万円の法人税が減税(連動して法人市民税も概ね10万円以上減税されます)され、即時償却を選ぶ場合は、約350万円(法人税実効税率35%と仮定)の減税(同じく法人市民税は概ね35万円以上減税)となります。

パッと数字だけを見ると即時償却のほうが有利に見えますが、即時償却は費用を先取りしているだけなので、毎期安定的に利益を出せる会社様であれば、税額控除を選択するほうが有利になる場合があるので注意が必要です。(目先の納税額だけで判断すると損する場合があります)

 

ポイント3.雇用確保を促す税制

M&Aに伴う労働移転等(人材の移転、配置換えなど)により、給与等支給総額を対前期比で2.5%以上引き上げた場合、給与等支給総額の増加額について25%を税額控除できる税制となります。端的に言えば、M&Aにより社員(役員は除きます)の給与支給額を上げた場合に、上げ幅の最大25%を法人税納付額から減額(計算の仕組上、法人市民税も減額されます)しますというものです。

M&Aによる事業譲り受けの際に、雇用条件を維持あるいは向上させやすいように設けられた制度です。なお、給与等支給総額が1.5%以上、2.5%未満の場合には15%の税額控除となります。

こちらは、M&A時ではなくても活用できる税制(経営力向上計画の認定は必須ではありません)であるため、前期比で給与支給額がUPしてるよという会社様の場合は、決算時に減税可能かどうか要チェックです。

 

ポイント4.準備金の積み立て

個人的には、3つの減税措置の中で最もインパクトのある税制だと感じています。

実際に現在取り組んでいるM&Aについても、こちらの税制活用が叶わなければ、資金繰りの問題(事業買取り資金の銀行融資判断も含めて)から成立しなかったかもしれません。

 

概要としましては、M&A後に発生しうるリスクである簿外債務(決算書に計上されていない負債)や偶発債務(後にトラブルとなりうる訴訟リスクなど)への備えとして、据置期間(5年間)付の準備金を設定し、投資額(株式買取り資金)の70%以下の金額について損金算入(経費計上)が可能となるものです。なお、この減税措置は株式譲渡のスキームにのみ有効で、事業の一部切り離しによる譲渡には適用がないので注意が必要です。

 

端的に言えば、株式取得により事業を丸ごと買い取った場合、通常、買い取った側の法人では、取得した株式は「子会社株式」として資産計上され、基本的には改めて売却するまで1円も費用化されません(この辺りは土地の購入と似ています)。ただし、当該税制を活用すると、子会社株式の70%を費用化することが可能となるので、後の資金繰りに大きなインパクトを与えます。注意点としては、据置期間経過後に費用計上していた金額は収益(益金)として振り戻されるという部分が挙げられ、トータルで見たら損益は変わらない(結局、費用化はされていない)じゃないかとなるのですが、ここでは、実際に私が取り組んだ事例を挙げて資金繰りに与える強烈なインパクトについて述べたいと思います。

 

【事例の前提条件】

①株式取得代金 10億円(うち3億円は手出し、残りの7億円を銀行借入)

②買取側の毎期の経常利益 約8,000万円

③借入金の毎期返済額 7,000万円(10年返済)

④銀行金利 1.5%/年

 

上記の場合、シンプルに説明すると、毎期③の返済額を②の利益で返済していくことになるので、8,000万円稼いでも1,000万円しか残らないということになってしまいます。ところが、税金は②の金額に対して課税されるので、約2,850万円(税率約35.6%)の納税が発生してしまいます。つまり、8,000万もの利益を計上しても、残るお金は逆にマイナス1,850万となり、資金はどんどん目減りするという地獄モードに陥ります。借入返済期間を15~20年に設定しては?と思われるかもしれませんが、株式取得資金で銀行が15年以上の返済期間を設けてくれるのは難しいケースが多い印象です。

 

では、上記を踏まえた上で当該準備金制度を活用するとどうなるか説明していきましょう。

最初に株式取得代金の70%が費用計上されることになるため、最終利益は(8,000万円-70,000万円=-62,000万円)となり、この-62,000万円は次年度以降に持ち越しとなるので、少なくともむこう5年は納税が発生しないことになります。そうなると、納税負担を気にせずに出した利益で借入の返済を進めることができ、5年経過時には借入の残債が5億円まで減っていることから、これ以降は納税負担が発生してきてもずいぶん楽になってきます。

また、買い取った子会社と親会社の資本関係は基本的に100%することがセオリーであるため、グループ法人税制の活用が可能となり、親子会社間での資金融通(貸し借り)についてのリスクが実質的にゼロとなります。そうなると、小会社で儲けた資金を親会社に貸し付けて、当該資金で借入の一括返済を行うことも可能となり、その後の金利負担を実質ゼロとすることもできます。

最初に損金とした70,000万円については、6年目から10年目の間で毎年14,000万円の収益として戻ってくるため、この辺りからの課税負担は重たくなってきますが、その時に借入の返済が終わっていれば資金繰りはずいぶん楽になります。ですので、M&A時に借入返済負担と納税負担が同時に発生することを回避できるというメリットは非常に大きいものであると言えるでしょう。

 

まとめ

現在の日本企業が抱える経営者の高齢化と承継問題は深刻さを年々増しており、特に沖縄県内では全国と比して問題はより深刻な状況です。

そういった中で親族への承継や幹部社員などへの承継も難しいとなってくると、第三者承継(M&A)の検討が必要不可欠となってくるでしょう。

経営者が引退しても会社が存続し、社員の雇用と経済を守っていく責務が経営者にはあるのではないかと思います。

M&Aを検討される場合は、ぜひ上記税制を踏まえていただければと思います。

皆様の事業の成功と発展を願っておりますp(^-^)q

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